写真撮影風景
“2046”シーン1記者会見
カーウァイ監督
4年前に言いました。2046を撮り始めた理由は、当時の香港の状況にヒントを得たからです。
1997年、香港が中国に返還された時、政府は「50年間香港の生活様式を変えない」と
約束しました。我々は考えました。その先、人生はどのように変わってしまうのか?
これが映画の出発点です。政治的な目的のために作ったわけではありません。
なぜなら、主役は“人間”だからです。だからこの作品はー自らを変えたいと望んでいる人々の
“約束”の物語です。
記者
あなたの「花様年華」とこの映画は似通っています。それについて質問します。
「2046」は延長線上として作られたものでしょうか?
カーウァイ監督
はい、そうです。トニーが「花様年華」で演じた作家と似ています。我々は2つの映画を同時に
撮り始めました。「花様年華」を撮り終えた後、再び「2046」に取り掛かりました。
しかし、続編というわけではありません。「花様年華」とは別の映画を作ろうと考えていました。
トニーが再び作家を演じますが、別のキャラクターを想定しました。全く違う映画を作るためです。
しかしー過去から逃れようとしても、私自身がそれに回帰してしまう。
結果として、過去から逃れようとしている人々を描きました。この映画の最後に、人々は、
記憶から逃れられないことがわかります。過去を受け入れること、そうすればーいつの日か
その記憶から抜け出すこともできるでしょう。そんな映画です。
“2046”シーン2
トニー・レオン
“変化”を求める男の話です。この男は“ある過去”から逃れようとしています。
撮影の初日でした。監督が私のところにやってきて、「花様年華」と同じ男を演じてくれと
言いました。しかし違う切り口で演じて欲しいと・・・つまり新しいキャラクターのようにです。
名前やヘアスタイル、服装も全て同じ。その点、「花様年華」の人物とよく似ています。
難しいと感じた私は聞きました。“口ひげを付けてもいいですか?”と。
“何故だ?”と聞くので、“別の人物なんだと自分に思い込ませるためだ”と。
そうやって役に変化を付けました。監督が求めたのは、ブコウスキーが描くような、暗くて
うさん臭い男です。そんな努力を重ねながら「花様年華」とは違う人物を作りました。
複雑でありながら顔は天使・・・
監督:天使だって?
トニー:ノーノーノーノー(笑)
監督:確かにブコウスキーを最初は目指したがクラーク・ゲーブルになった。
口ひげが気になった皆さんには、今のが答えだ。
“2046”シーン3
記者
新しい俳優の選考はどのように行いましたか?
この映画に出演したことで大スターになるはずです。
カーウァイ監督
彼らは既に本国で大スターです。チャン・ツィイーや木村拓哉さんも。
木村さんのような人と仕事をするのは大変です。お互いの国のシステムが全く違うからです。
日本はとても組織立っています。木村さんが今回この作品にチャレンジした勇気をたたえます。
チャン・ツィイーもそうです。実際の彼女とは全く違う役を演じてくれました。バックグラウンドも
違います。60年代の香港ダンサーの雰囲気をとらえなければなりません。何週間もかけて
歩き方から始め、しゃべり方や物腰などを二人で研究しました。
幸運なことに、トニーやマギーらの俳優と以前も一緒に仕事をしたことがあります。
その中に新しい俳優達が加わりました。トニーが演じた主人公の境遇と似ています。
旧知の友人との出会いがあれば、新しい出会いもある。
“2046”シーン4
記者(日本語)
え〜、木村拓哉さんにお伺いします。無国籍の環境の中でお仕事された現場は、
いかがだったでしょうか?そして、今まで日本で映画の経験されたと思いますが、
香港の映画の経験で制作は違う点がありましたら教えていただきたいのですが。
木村拓哉
え〜、そうですね、まあ、その多国籍っていうことは、自分でもすごく刺激的だったことは
間違いないんですけど、ほんとに、そうですね、バンコクのスタッフの皆さんだったり、
上海だったり、香港だったり、ま、いろいろな所で撮影の方に参加させていただきまして・・・
ほんとにあの、なんていうか、刺激的だったっていうことはすごく大きいですね。
それで、日本の物作りの方法と、今回経験させていただいたウォン監督の現場での
方法っていうのは、まあ、あの、大きく違うところはたくさんありますけど・・・たとえば
台本がなかったりとか、いろいろありますけど、でもそういうところは僕はこのチームの中の
泳ぎ方というか、歩き方というか、ほんとにあの、今まで自分が日本で培ってきた経験は
ちょっと側に置いといて、脇に置いといて、もう一度なんかこのチームの中で、みんなに
手取り足取り教えていただきまして、それでワンシーンワンシーン、ワンカットワンカット、
撮っていったように思います。すごくあの、自分にとってもいい経験ができたと思います。
チャン・ツィイー
よく聞かれる質問です。カーウァイ監督とイーモウ監督の違いですが・・・
通訳してもらっていいですか?(ここまで英語で話してたが、中国語で話し始める)
監督は皆異なり、違った事を学べます。映画は毎日新しい体験であり、
そのたびに感想も違います。
“2046”シーン5
記者
今日の新聞で、ヨーロッパやアジアの他の製作者が、あなた達を批判しています。
映画の到着が遅れたことや、記者会見をキャンセルしたことについてです。
ギリギリまで完成させないのは、宣伝作戦に違いないという非難もありますが?
カーウァイ監督
それは過大評価です。そこまで考える余裕はありません。
実際、カンヌにおいて、この作品を任せているのは、フランスのプロデューサーです。
この質問に対しては、エリックが答えてくれるでしょう。
プロデューサー
上映の遅れと宣伝意図とは全く関係がありません。カーウァイ監督と一緒に既に2本作って
います。仕事の早い監督ですが、途中で様々な変更もあります。
エンディングの視覚効果に問題があり、フィルムを入れ替える必要がありました。
フィルムの手配に時間がかかり、今日の上映に間に合わすのに苦労しました。
上映が遅れたことを申し訳なく思っています。
“2046”シーン6
記者
パルムドールを狙っているとか?
カーウァイ監督
私が思うに・・・あなたは考えすぎです。私はカンヌ映画祭を、とても大事に考えています。
そしてもし・・・賞までいただければ幸運なことです。
実際のところー私とスタッフは全身全霊を込め、この作品を作りました。
それに見合ったー評価が与えられるべきです。しかし、特別な期待はしていません。
今、嬉しく思っているのは、ここに制作スタッフと俳優が揃い、やっとここで制作を終えたことです。
今日は本当に嬉しいんです。
過去4年間、同じ質問を何回も聞かれました。“いつ完成するんだ?2046年か?”
本当に2046年になったかもしれない・・・このジョークも終わりです。ありがとうございました。
“2046”シーン7
レッドカーペット映像
スタンディングオベーション映像 (ききょう) |