「武士の一分」木村君はいないけどレポ 

06.03.09 よこっちょ

2/21に彦根で木村君のロケがあった後、
「もう1回来る」という話で町中が持ちきりで、
なんだかずっとそわそわした空気が流れてました(笑)
結局木村君は先週で撮影を終えていたそうで、他の出演者の撮影だけでした。

今回私が見た、映画の作られる様子だけでもお伝えできたら、
映画が公開された時に、より身近に感じてもらえるかな・・・と思って
題して「木村君はいないけどレポ」をお送りいたします。

3月9日、明日ロケらしい、という前日のお昼頃、
今回のロケ場所「埋もれ木舎」の前をチェックに行きました。
そうしたら、普段は人も車も自由に通行できる通りが「通行止め」になっていて、
覗いてみたら、屋敷の入り口付近のお堀と塀沿いに
この季節にはない緑の柳の木を何本も、造園業者が植え込んでいました!
うわ〜!セット作りをしてる!と興奮。
てことは、明日やっぱりあるんだぁ!と、かなり嬉しくなりました。
夕方にもう一度見に行くと、更に手前の道から厳重な立ち入り制限がされていましたが、
関係者は誰もいなかったんで近くまで寄って見たら、
完璧な初夏のたたずまいが出来上がっていました。
地面には大量の砂が撒かれていて、アスファルトの舗装が隠されて
そこだけが江戸時代になってました。
こうやって準備ってするんだ・・と思いました。

ですが、10日は朝からずっと雨で、お昼頃に今日のロケは中止、と地元の人から情報が入りました。
その後、木村君の撮影は終わっている、という話も伝わってきて、
ああ、やっぱり・・とちょっと落胆しました。
結局、本番は11日になって、リハーサルだけ午後からやっていたそうです。
この時点で、木村君以外の出演者って、誰が来てるのかはわかりませんでした。

そして、11日。
晴天、まではいかず曇天でしたが、十分ロケ日和。
午前9時頃ロケ現場に行くと、もうすでに本番さながらのリハーサルの真っ最中でした。
今はいなくても、木村君あとから来たりしないかな〜?と期待してる人もいたようですが、
この前見学してた人によると、「警備の人数が全然違う。今日はゆるい」そうで、
それで木村君が来るかどうかはわかる、というお話でした。
なるほど・・と、納得した私です。

出演者は坂東三津五郎さんと、木村君の奥さん役の壇れいさん。
屋敷入り口の前ですれ違うシーンを撮っていました。

江戸時代の町中の雰囲気を出すためか、エキストラの役者さんが総勢10人以上いました。
男の子と女の子の子役2人が路上で無邪気に遊んでる演技を指導されてました。
あとはかなり年配のおばあさんから、魚屋とか大工とか、大八車を引く人とか、もうさまざま。
すんごい後方、遠くの橋を歩かされる女の人まで着物姿で配置されてましたが、
あんな後ろ、映らないでしょ〜?というような所なんですよ・・
山田監督のこだわりを感じました。

魚屋さんと大工さんは、タンクトップみたいなカッコでもろ肌出していて、
かなり寒いんでは・・とかわいそうになりました。(なんせ、初夏の設定らしいから、辛いですね)
数えてたら、リハーサルだけで、10回以上、同じシーンを繰り返しやってました。

私はロケバスが止まってる駐車場の近く、お堀の角から見学してました。
三津五郎さんが、もうずっと目の前。
距離にして、数メートル位?なんせ、近かった〜
「ああ、これが木村君だったら・・」と、周囲のギャラリーがみんな言ってました(笑)

見学の人はそこそこの人数、という感じで決して多くはなかったです。
だから、そんな近くで見ることを許してもらえてたみたいです。
穏やかな感じでみんなおとなしく見学してましたよ。

三津五郎さんは、さすが歌舞伎役者、という感じで声がね、とっても響くんです。
渋い低音で、はっきりした話し方だから、私達のところまでよくセリフが聞こえて
「ほ〜そんなシーンなんだ」と、理解できました。
こんな感じです。

すれ違う壇さんと、お付きを連れた三津五郎さん。

三「失礼だが、三村新之丞殿の、ご新造では?」
壇「(何か言ってるけど聞こえない)」 そして、うつむき加減で一礼。
三「拙者(だったかな?)島田藤弥と申す」

たった、これだけのシーンなんです。
それなのに、リハ10回以上やるんですよ!
本番も、5回くらいやってました。
三津五郎さん、このセリフ、20回は繰り返したんでは・・?
で、その度に、行きかう町人のエキストラ、行っては戻り、行っては戻りをしてます。
その時点で、うわ〜何て大変なの・・と思いました。

OK出るまで2時間くらいかかってましたが、その間、三津五郎さんも壇さんもずっと立ったままです。
山田監督は立ったり座ったり・・

念入りなリハが終わって、いよいよ本番。
「本番、行きま〜す!」の声がかかると、見学者整理係のスタッフが私達にも
「はい、本番です!お静かに願います!」と声をかけます。
思わず、私達もグッと息を詰めて、緊張!
なんか、出演者になったような気分味わえましたよ(爆)

ですが、何度もNGが出ました。
時代劇なのに、あってはならない物、聞こえてはいけない音、が入るんです。
飛行機の音。それから、背景の橋の上を通る車の姿や音。
スタッフがちゃんと交通整理してるんだけど、やっぱり観光地なのと、
地元の人が生活してる場所なんで、車を全部制止できないようで、
本番の声がかかってから通ったりするんです。
「ちゃんと止めろっ!」って、怒号が飛び交ってました・・

見てる私達も段々わかってきて、本番に入ってから、そんな音とかが聞こえると、
「ああ〜」と、がっかりしたりして、スタッフの気持ちも味わえました(入り込みすぎ?)
それから、「はい、本番」となってから、監督が「待て」を何回か出しました。

1回は「天気待ち」 ほんの少しだけ、曇ったんです。
それが気に入らなかったようで、10分そのまま待ちました。
照明とか、当ててるんですよ。別に支障あるほど曇ってないよね〜と思いましたが・・

それから、すごかったのが、「鳥待ち」です。
「鳥待ち」って、監督が言った時は「え?」と思いました。
緑の多い場所なんで、鳥がいっぱい飛んでるんですが、
それも気に入るようになるまで、待ちましたよ〜
一体、どんな風に飛んできたらよかったのか、いまだにわかりませんが・・
何回も撮り直しする監督っていうのは、本当みたいですね。

11時頃やっとそのシーンにOKが出て、今度は二人をアップで撮ることに。
エキストラはロケバスに戻って待機ですが、
三津五郎さんと壇さんは、休憩なしでそのままリハです。
照明やらカメラの位置替えがあるんで、しばらくザワザワとしてて、
その間、私たちの所には整理係のスタッフが来てたりしたんで、
結構、雑談などして色々聞いてしまいました。

今日、2シーン撮ってクランクアップ、っていうのでリラックスしてるのと、
関西のおばちゃんの勢いに負けたのか、若いお兄ちゃん、口が軽かったですよ(笑)
決して、私だけが聞いたんではなく、周りのみんなで聞きました。

ファン「ロケって見物人の整理、大変ですねぇ」
スタッフ「いやぁ、今日は木村さんがいないから、楽なもんです」
フ「やっぱり、木村君いると違う?」
ス「全然違いますよ。こんな近くで見ていただけないですから」
やっぱり、ファンが騒然としちゃうんで、ギャラリーをもっと後ろに下げろって指示が出るんだって。
あと、尋常じゃない数が押し寄せるから、大変だって。
フ「木村君って、どんなでしたか?」
ス「あ、それはもう、あの人はすごいですよ」
このお兄ちゃんの言い方が、とっても賞賛と、尊敬がこもってる感じで、
なんだか、好感が持てました。
木村君、スタッフに好かれてたんだなぁって・・

フ「もう午前中で撮影終わりですか?」
ス「いや、順調に行っても、夕方くらい・・かな」
かなり自信なさげ。山田監督次第ってとこか?
ほんのちょっとのシーンなのに、わざわざ彦根で撮るんですね、って言ったら
どこから撮っても電線とかが映らないので、この場所は貴重なんですよ、って
教えてくれました。

それから、関係ないけど前に剛くんが「犬と呼ばれた男」に出た時も
ここで撮ってた、とファンの人が言ってました。
剛くんも来たそうです(それは知らなかった)
半日かけて撮ってたのに、放映されたのは1分足らずだそう・・
時代劇に欠かせないロケ場所だそうですから、これからメンバーが時代劇に出る時は
要チェックだわ、またロケに来てくれるかも、と改めて思いました。

そして、さっきのシーンのアップが始まりました。
セリフもさっきの続きです。

三「三村新之丞殿のご新造では?」
 「私のことを覚えておいでか?昔、道場で・・」

って、とこで何度もカットがかかり、やり直しの指示が監督から出ました。
何がいけないのかわかりませんが、あまりに何度もダメ出しが出るんで、
途中で三津五郎さん、台本を取り出して、確認してました。
台本、真紅で「武士の一分」と黒の墨っぽくくっきり書かれた文字が見えました。
(それくらい近かったんですよ)
公式サイトも背景が真紅ですよね?
あの真紅がこの映画のテーマなのかな、と思いました。

アップのお芝居なので背景はいいんですが、この頃お堀にいる黒鳥が側に来てクークー鳴き出して、
それで何度も中断しました。
音声さんの若手が黒鳥を追い払うのに必死で、やっぱり「ちゃんとしろ!」と怒られてました。
(スタッフが悪戦苦闘して黒鳥を追い払ってる姿を、ビデオ回して撮ってるスタッフがいました。
もしかして、映画がDVDになった時にメイキングとかの特典映像になるのかも?と
思っちゃいました。気が早いかしら?)

アップのシーン、カメラアングル変えて数回本番撮ってましたので
これまた三津五郎さんリハ入れたら30回(!)くらいは同じセリフ言ってたんじゃないかな?
山田監督は怒るとかではないんですが、
何回も「もう1回」って言ってました。
三津五郎さんにではなく、壇さんの方に何回か演技指導みたいな感じで話しかけてました。

途中1回だけ、三津五郎さんが休憩のためにタバコを吸ってましたが、
壇さんは手に小道具の風呂敷包みを持ったままずっと本番の立ち位置にいました。
最初のシーンからほとんどそのままのカッコで、
一番大変なのは壇さんかなぁ・・と思いました。

ようやくOKが出たのが12時頃です。
それでお昼?と思いきや、今度は私達が立ってる所を背景にする、と言われて
「すいませんが・・」とさっきのお兄ちゃんがギャラリーに移動をしてほしいと促しに来ました。
私はそれで見学を終えて、帰ってきました。

3時間ほど見学していて、立ちっぱなしで、腰が痛くなりました。
でも、役者さん達はもっと長い時間立ってるわけで、すごいなぁと。

今回、三津五郎さんを見ていて木村君とダブって仕方なかったです。
あんな風に20回以上も同じセリフを言ったのかな?
何回も「もう1回」って言われたのかな?
ずっと立ったままスタンバイしてたのかな?
そう思うと、映画って本当に大変なんだなぁ・・と苦労がしのばれました。

そして、山田監督。
前回のロケで目の前で見た時は、「意外に普通のおじさん」と言いましたが、
恐れ入りました。
こんなにこだわりがあって、穏やかながら毅然と指示を出す姿を見て
木村君が「先生」と評した理由がよくわかりました。
やっぱり、只者ではないお方でした(失礼な言い方ですが)

映画が完成した時にこのシーンがどれだけ使われるのかはわかりません。
もしかしたら、カットされてる可能性もありますよね。
それでも、こんなに時間をかけて撮ってるってことは
本編全部でどれだけの時間をかけて、今日のクランクアップにこぎつけたんだろうか、
と想像すると、心から拍手を送りたくなりました。

ロケ先ですごい数のギャラリーと戦いながら、演技してたであろう
木村君にも拍手です。
若手スタッフの「すごい人」って言葉が聞けただけで、
私はとても嬉しかったです。
映画の公開はまだまだ先ですが、本当に完成が楽しみです。

以上、木村君には会えなかったけれど、
「武士の一分」最終日、彦根ロケのレポでした。
長々とお付き合いいただきありがとうごさいました。
映画完成の暁には、ぜひ、上記のセリフが出たら
「あ、これ彦根で撮ったところ」と思っていただければ幸いです。